利用者さんコラム その2

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脳の中の可能性

リハビリには結構マジメに取り組むようにしている。

そうなったきっかけになった出来事がある。
それは、リハビリ病院に入院して間もない頃に起こった。

入院してリハビリを開始するにあたって、各療法士さんと最初の面談をした。

ST(言語聴覚士)さんからの「どんな仕事をされてたんですか?」というような簡単な質問の中に「どんなアーティストが好きですか?「好きな曲は?」という質問があった。

「スターダストレビューの「トワイライトアヴェニュー」という曲が好き。」と答えた。

そのバンドは大学時代に妻と付き合うきっかけになったバンドで、曲は中でも一番大好きだった曲だった(不思議なことにその記憶だけは失っていなかった)。

数日後、再度その同じSTさんのリハビリの時、彼女は自分のiPhoneを取り出して、今日は聴いてほしいものがあるんです。と言った。

流れ出したのは、数日前に答えた「大好きな曲」だった。

懐かしい音楽とメロディーが流れる中、突然、何とも言えない感情が沸き起こってきて、気がつくと溢れ出すように涙が流れ出していた。理由はまったく分らない。

しかし止めようとしてもその涙はまったく止められなかった。

その時考えたのは、
「自分の脳の中には、何か意識できていないチカラ(可能性)が残っているのかもしれない。」
「その可能性をきちんと引き出せば、麻痺している身体も動き出すかもしれない。」
「自分で今見えていないからと言ってできない、とか終わり、とか思うのは止めよう。」ということだった。

そこからどういうことを考え、思ったのかは今となっては思い出せないが、
「自分の脳には可能性が残っているかもしれないから、リハビリはきちんとマジメにやろう。」
と決心している自分がいた。

それは今も変わっていないし、その可能性は何をきっかけにして動き出すか分からない。

そういう意味で、いろんな人と出会い、自分では興味のない(やり始めることのない)作業(革細工など)をやらせてもらって、いろんな脳の引き出しをノックしてくれる作業所の作業は大切な刺激であり時間だ。

~ 脈絡のない人の集まりと作業の連続が、「脳の中の可能性」を刺激している ~

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