利用者さんコラム その4

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歌詞の新しい再発見

倒れて入院し、退院してから、物事の見方や感じ方が以前とは変わったように思うことがある。

それはハッキリとは言えないが、たとえば寝るために床に入った後に眠りにつくまでに考えることなどに変化として現われてくる。

未来に向けての道が閉ざされた(ように感じている)からか、なぜか思考は「過去」に向かい、昔のことばかり思い出すようになる。

新しい情報などはあまり頭に入らなくなり、以前知っていた情報を再度「反すう」して、気づいていなかったことに再度気づく、ということが多くなる。

たとえば歌の歌詞などでもそうだ。

自分がこのような病気になったことで高校生だった娘が「作業療法士」という仕事を知り、そのための大学に行く、と言い出した。

実際に私のリハビリをしてくれた作業療法士さんの仕事を見て興味を持ち、少しお話をしてみて、そう思うようになったようだった。

子どもの教育や進路のことなどはすっかり妻に任せて外で仕事にばかり出かけていた自分だったが、自分の病気をきっかけに「作業療法士」の道を選び、いつかは私のような誰かの身体回復と社会復帰の手助けをしてくれるのかもしれない、と思ったときに聴こえてきたのが、中島みゆきの「糸」だった。

「縦の糸はあなた」
「横の糸は私」
…縦が妻なのか、横が私なのかは分からない。

「織りなす布はいつか誰かの傷をかばうかもしれない」
…布である娘がいつか誰かの役に立つかもしれない。

そして昔のことを「反すう」ばかりしがちな私に新しい情報や新しい世界(革細工など)、新しい仲間に出会わせてくれるのが、『ゆずりは作業所』だ。

家のベッドに寝転んでいるだけで過去にばかり思いを馳せがちな自分を新しい世界と環境に連れ出してくれる。

知らなかった楽しさや人の魅力に気付かせてくれる。

新しい引き出しをノックしてくれる作業所の作業は大切な刺激であり時間だ。

~「脳を刺激する新しく響くノック」が、作業所の一日に溢れている ~

ーーーーここまで引用ーーーー

昨年4月お嬢さんは大学OT学科に入学されました。
人と人、そして世界は糸と糸のように出会い、つながり、織られ、広がっていくのでしょうか。

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